「まかない付き」とある飲食店のアルバイト募集の貼り紙を時折見かけることがある。
物価高騰の折、外食はもとより家で作っても食費はバカにならないから、これだけでも数百円の賃金アップか。
学生の頃、一度だけまかない付きのアルバイトをしたことがある。
何度か目にしていたものの、時給が他のものと比べると最も安いため敬遠していたところ、日程の都合でそれ以外なかったからだ。
午後八時開始で、十分前に現地に行ったところ、アルバイトの常連らしい人が
「時間無いからさっさと食べちゃって。八時には始めるから」
と、大鍋に入ったカレーを指さした。
まかない付きが条件なのは事前に知ってはいたが、帰りに弁当でももらえるのかなという程度の意識だったので、当然食事は済ませてきている。
やむなく軽く一杯いただいた。
仕事の内容は、ホテルの洗い場で大広間の宴会で使われた脚付きお膳に乗ったものを片付けること。
私は初心者だったので、洗うほうではなく残り物を処理する係に配置された。
当時は、少なくとも今よりはずっと景気のいい時代だったから、社員旅行やツアーも多く、その量の多いこと。
2時間半か3時間くらい、ずっと同じ作業をしていたと記憶している。
何より、印象に残ったのは、お膳の器に残っていた豪華な料理。
私の家は家族旅行に行くようなことはなかったので、旅館の料理などほとんど食べたことがなかった。
学生時代であったから、数年後に経験する社会人のような宴会体験もない。
作業する間、土瓶蒸しや茶わん蒸しなど、ふたのある器の料理は手のついてないものが多く、正直
「あー、このエビとかもったいねえ。カレーより、これを詰めて持って帰らせてくれればな」
と、繰り返し思い続けていた。
結局、時給の件もあるが、そのギャップも気になってお世話になったのは一回きりだった。
いつも入っている人からしたら、時間も決まっているし、学校が終わってから少し早めに入って一食分浮かせてということで、やりやすいということはあっただろう。
数か月前、一度も飲んだことのなかったシーバスリーガル12年を古酒で購入したのだが、これが劣化していてお話にならず、マイベスト救済策であるリンゴジュースの助けを借りて、やっと飲み切る感じだった。
同じスコッチの12年物であるGrand Old Parrは、十本以上一度のハズレもなかったのでちょっとした衝撃だった。
以来、ちょっと敬遠していたのだが、今回ハズレでもいいやってくらい安く入手することができた。
ボトルのデザインを見ること自体トラウマになっているくらいなので、期待せずに開栓して一杯作る。
いや、これマジかってくらいうまい棒。
Grand Old Parrはスパイシーで割とクセが強いが、それと比べるとこいつはクセもなく甘くすらある。
価格からして当たり前だが、ジムビームとは格が違う。
ってことで、初日にボトル半分近く飲んでしまいました。
バーボン、ブランデー、スコッチを飲むことが多いが、これらは他の酒より酔いの抜けが早い気がする。
最近あまり二日酔いにもならないしなあ。
(あくまで個人の感想です)