「小さな政府」への疑問
最近、決まり事のように「小さな政府」を連呼する人は多い。
では、現在の日本が「大きな政府なのか?」というと、答は決定的に
NO!である。
<人口1000人当たりの公務員数>
日本 米国 イギリス フランス ドイツ スウェーデン
38 75 80 97 65 100超
出典:財務省「各国社会経済主要諸元(データは98年)」
スウェーデンのみ、「スウェーデンの地方自治」を参照
上記のとおり、日本は決して大きな政府ではなく、小さすぎるくらいだ。
「小さな政府」好きな人々は、この事実を知っておられるのだろうか?
特に、道州制推進論者は、スウェーデンを理想の国とする向きが多いが、右へならえなら、公務員は現在より3倍増。
加えて「小さな政府」を主張するなら、いわゆる「いいとこどり」で、主義主張にあまりにも矛盾があり、ただでさえ道州制導入を理解しがたく感じ
ている国民が、さらについていけなくなるのではないか。
(質的変換>量的変換 ということを私は言いたい)
かといって、私は単純に「大きな政府でもOK」とは考えていない。
上述の各国の公務員数についても、「どこまでを公務員としてカウントするのか」という基準が国により異なっている可能性もあり、多少のばらつきも想定される。
基本的に、公務員数の多少の議論よりも、国民が安心感を持てるような仕組みづくりをトータルで考えることのほうが大事なのであって、いたずらに「小さな政府、公務員数削減」を主張し、「ともかく歳出経費が削減されれば、すべて解決」(負の理論)とすることが、いかがなものかと思うのである。
北欧諸国を道州制のモデルにするなら、それらの国々のセーフティーネットのあり方や、教育や企業育成の手法などを中心に論じるべきであって、ことスウェーデンに関しては、「小さな政府」はまったくあてはまらない。
政府が主導して、マスコミもそうだそうだと食いついている「小さな政府、公務員数削減」論については、
・公務員(仮想勝ち組)バッシングによる、格差社会における不満分子へのガス抜き
・ごく一握りの国家公務員が優遇されている、法人への天下りを少しでも長く続けるためのカムフラージュ
と、私は考えている。