桜の開花も迫り、歓送迎会の季節である。
私も二十数年前に新社会人最初の歓送迎会に参加した。
普通二次会にはあまり行きそうにないものだが、何かの流れでついていき、別の部署に異動する課長のKさんをはじめとする4名で静かな居酒屋に入った。
タイミング的に、私はまだ会社で着るスーツを購入する前だったので、学生気分の抜けないいささかバブル感のあるダーク&ソフト系のスーツを着ていた。
二次会の席でそんな私を見たKさんが
「君はなかなかオシャレだな。いいか、これからもたくさん服を買うと思うが、服は選んではいけない。自分の好きな物を買う。それを忘れないように」
とおっしゃった。
それだけではなく、Kさんは主席での私の不作法な点について、何のためらいもなく叱責してくれた。
私もそろそろそういった役割もしなければならない年代に近づいている。
以来、服を買うときにはよくKさんの言葉を思い出している。