イスラームやアラビアに関する本である。
著者は
「お前ら神話や物語の類と歴史学をごっちゃにしてんじゃねーよ」
といった勢いで、事実に裏打ちされた内容を歴史として残していくよう説いている。
中盤には当時の様々な面の社会事情、終盤には錬金術や多くの詩も掲載されたりしている。
伝承について、各都市について、生計について、学問についてといった一大絵巻。
しかしながら、この文庫本、字が小さすぎる。
私も視力がよいほうではないので、2か月間仕事の合間に読んでいたのだが、計4巻の内容のうち1割も読めなかった。
行きつけの図書館を通じて、お取り寄せで借りていて期限を迎えたので、いったん返さなければならない。
今では様々な器具もより販売されているし、ユニバーサルデザインが考慮されつつあるが、昔はこういった事情で読むことをあきらめた人も多かったのではないか。
大活字本とまでは言わないので、新聞程度の文字サイズにはしてほしいところだ。
文字の読み取りに労力がかかると、中身が頭に入ってきづらいというデメリットもある。
しかしながら、序盤で以下の一説に行き当たったことは幸いだった。
神様はこのためにこの本と引き合わせてくれたのではと思う。打ちされた内容を歴史として残していくよう説いている。
−−−(引用始まり)−−−
(神はいかなる知恵者よりよく知っておられる)あらゆる知識は究極のところ神に帰せられる。人間は弱く、また不十分である。人間の無知を認めることは免れえない〔宗教的〕義務である。神の助けを受ける者は、自分のたどるべき道をたやすく見出し、努力と探求は、彼に成功を与える。われわれは、我々が望む本書作成の目的のために、神の助けを求める。神は導き、助けられ給う。神に信頼あれ。
−−−(引用終わり)−−−
出典:岩波文庫 歴史序説(一)イブン=ハルドゥーン著 森本公誠訳