出張の折りに、久しぶりにバーテンダーＨ君がいる店に行くと、閉店になっていた。
代わりに入った店で女のコたちに尋ねてみたが、行方はわからなかった。
ここのところは年に一回行くか行かないか程度ではあるが、もう十年以上通っている店だったので、寂しい思いがした。
店は結構繁盛してたので、オーナーが他で失敗したんだろうか。
Ｈ君は経営者では無かったので、閉店と同時に仕事を失ったのだろうか。
私がお願いして置いてもらったボンベイサファイヤは・・・
ずっと開いていた店が閉まっているのは、臨時休業であっても気が滅入るものだ。
酒場は定休日以外は常に営業していることが大事だ。
行きつけの店はすべて定休日の日曜以外は臨時休業などほとんどしない。
よく通っているバーも以前はマスターが一人で営業していたので、抜けられない行事が入ってしまうと、よく閉店か不規則営業になっていた。
「ここはいい店だけど、開いてないときが多いのがよくない」と、私がカウンターでしつこく言っているうちに弟子が入り、日曜日も営業するようになり今に至っている。
常に店を開けて待っていてくれるからこそ、ついつい客は足を運んでしまうものだ。
そこには特に意識はしないものの、客の店に対する信頼関係があるのだろう。
Ｈ君もどこかの店でグラスを磨きながら、今日も待っているのだろうか。
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