年々字が上手く書けなくなっている。
かつて一緒に暮らしていた祖母に、よく針に糸を通すよう頼まれたことがあり、当時はどうしてこんな簡単なことができないのか不思議だったが、最近はよくわかる。
また、一時期近所の奥様方で集会所で習字を習うのがはやり、祖母もしばらく参加していたのだが、
「目が見えないから書けない」
という理由でやめてしまった。
当時ちょうど社会人になった私が習い始めた直後だったので、何か言い訳を言っているようにしか思えなかったが、それも今はよくわかる。
私は延べ五年ほど、ペン字に始まり筆による楷書、行書を習った。
当時は三十前後の遊びたい盛り(今でもか)。
月一回の締め切りが本当に厳しく、徐々にフェードアウトしてしまった(先生本当にごめんなさい)。
私が最初に視力に変化を感じたのは四十代前半。
所有していたギターを売る際に、弦高を見ようとしたところ、ぼやけてはっきりと見えない。
その後、いわゆる老眼のような症状も出てきて、元々の乱視も相まって、日常生活に支障はないが字を書く時だけはちょっと厳しい。
字は大げさに言えば目指すべき形を書いていくということなので、きちんと見えないと、あてずっぽうで書くことになる。
近頃は、すごく細かい字でふせんにメモを書いていたりするのを見ると、大いに感心してしまう。
以前、古い資料を調べていたときの話、昔の担当者が決して上手ではないが一画一画きちんとした字でメモ書きしていて、感心したことがある。
最近はそれを思い出しつつ、
「うまく書かけなくてもいいから、ていねいに書こう」
路線に行こうとしている。
関西在住の姉から一度もらって以来、気に入ってしまった七味。
現在はもっぱらこれだ。
袋の裏は宛名が書けるようになっており、切手を貼れば送れるようになっているので、このところはその方式で無くなれば姉に頼んでいる。
普通のビンの七味一本分よりずっと多いので、割と多めに使う私でもしばらく使える。
柚子との相性が抜群にいい。
値段を尋ねることはないが。